第4回講演 「『みえない/みえにくい』差別―学生と共に考える―」

第4回目のテーマは「『差別を支えてきたもの』はなにか」です。

今日の世界では、「差別」は「いけないこと」であるという了解が存在し、差別を禁止する様々な取り決めが存在している。これは、差別により引き起こされた様々な悲劇を繰り返さないようにという国際的?国内的取り組みの成果であったはずだ。しかし、アメリカに始まり世界中に広がったBLM運動が浮き彫りにしたのは、そうした取り決めにもかかわらず、マイノリティへの差別のまなざしは存在し続けているということであった。

本セミナーでは、このような問題の根幹には『差別を支えてきたもの』が私たちの日常に潜んでいるという現実に目を向ける。そして、差別の対象となる人々への支援に携わっている学生団体のメンバーとともに、いとも簡単に社会の分断を招いてしまうにもかかわらず、往々にして「見えない/見えにくい」『差別を支えてきたもの』と、どのように向き合っていけば良いのかを考える機会としたい。

講演タイトル

「『みえない/みえにくい』差別―学生と共に考える―」

講演者

  • 中山 裕美(大学院総合国際学研究院准教授)
    https://www.tufs.ac.jp/research/researcher/people/nakayama_yumi.html

  • 山内 由理子(大学院総合国際学研究院准教授)
    https://www.tufs.ac.jp/research/researcher/people/yamanouchi_yuriko.html
  • 学生団体
    みんがおキッチン
    みんなの笑顔×ミンガラーバー(ビルマ語で"こんにちは")。食で始まる難民との出会いからみんなの笑顔を生みたい、そんな思いを込めた団体名のもとで、「食」という身近なものを通して日本に暮らす難民について知ってもらうことをめざす学生団体。学食での「難民の故郷の味」提供や、自主的な学習会を企画?開催している。

  • 学生団体
    Moving Beyond Hate
    Moving Beyond Hateは、日本そして世界から 人種/民族?障がいなどに基づくあらゆる差別をなくすために、新しい反差別運動をつくっています。10?20代の若い世代を中心に、差別にNOと言わない空気を突き破り、日本や世界からあらゆる差別の根絶をめざす学生団体です。

  • 司会:
    武内進一(現代アフリカ地域研究センター)

日時

2021年1月20日(水)17時40分~19時10分

Zoomでのオンライン開催

プログラム

1.開会 司会:武内進一教授(0:00)
2.講演 中山裕美準教授(3:25)
3.講演 山内由理子準教授(9:40)
4.学生団体紹介 みんがおキッチン(20:05)
5.学生団体紹介 Moving Beyond Hate(30:21)
6.相互コメント、質問(44:32)
7.参加者との質疑応答(1:27:53)
8.閉会 司会:武内進一教授(1:32:55)

備考

使用言語:日本語

参加費:無料

事前申し込み必要(本学学生優先。先着受付順。)

共催

欧宝体育平台_欧宝体育在线-app下载多文化共生研究創生WG、海外事情研究所、現代アフリカ地域研究センター

協力

みんがおキッチン、Moving Beyond Hate

参加者の声

  • 反差別や難民への理解について具体的な行動を起こしていらっしゃる団体のメンバーの方々がお話されていた、「意識高い系」と思われることについてのお話が印象に残りました。偏見や差別に対し気付かないでいられることが一つの普通の形になっている現状が日本にはあります。意識のレベルを底上げしていく学校教育のあり方を考え、実行していくことを改めて自分の目標として意識させられました。
  • 「見えない差別」というのは、とくに加害者にとって、そしてそれを許している傍観者にとって、という意味なのですね。それを被害者とともに「れっきとした差別だ」と見ることができる人が、「意識が高い系」として肩身の狭い思いをしないために、日本をそんな社会のままにしないために、どうすべきか、考えさせられました。
  • 何を「差別」と認識するか、定義づけの問題は難しいですね。私自身は身近に差別がたくさんあると感じます。対個人の差別も対集団の差別も、差別をする側は差別と思っていない場合が多いでしょうが、差別される側の立場になればよくわかります。自分が差別される側でなくてもされる側の立場で考えることができるかどうか、つまり想像力が大切だと思います。
  • 言動に差別がにじみ出てしまうマイクロアグレッションという概念は、誰でも心が乱されると思います。言った後に自分で撤回したり他人から指摘されて謝ったりということが自然にできるようになったらよいです。

PAGE TOP