2019年度 活動日誌

3月 ヤンゴン日本語教室便り

2020年3月31日
GJO日本語講師 今井 己知子

2月の日本語教室便りには、「ミャンマーはまだのんびりしていて」と書いてありますが、3月に入り、ミャンマーでも感染者が出たことから一気に事態が進展しました。

まず3月13日に第1回目の買いだめパニックが起こり、寮の近くのスーパーマーケットでも大きなカートに山ほど商品を入れた人たちが列を作っていました。この時はまだ何が起きているか分からなかったので、陳列棚を見て回ると、お米の棚がスカスカに。美味しいシャン米は殆ど売り切れで、細長いインディカ米だけが売れ残っていました。ミャンマー人にとってとても大事な油も、一番下の棚に置かれている数リットルのタンクに入った油は売り切れでした。レジで、私の前に並んでいた白人男性はカート2台におむつや肉やらチーズ、トイレットペーパーやキッチンペーパーなどなどを買って、合計が62万チャット(だいたい4万6千円ぐらい)にもなっていました。

その後少し落ち着いたものの、徐々にマスク姿の人は増え、先週行った大きな高級ショッピングセンターではマスク率40%ぐらいでした。2回目の買占めパニックが起きた時は、スーパーマーケットが、各品目についておひとり様いくつまでと購入個数制限をもうけました。写真は人気のシャン米ですが、「おひとり様3個まで」と注意書きがついています。

27日には用事があってヤンゴン国際空港へ行きましたが、ちょうどどのカウンターも空いておらず、空港の出発ロビーの半分は照明が落とされて暗く、照明が点いているカウンターも人影がなく、開店休業中といった感じで、このままではいつまで営業できるのか心配と共に悲しくなりました。電光掲示板でコロナウィルスについての注意が流れているので眺めていると、思わず目を止めてしまうものが流れてきました。”NO SPITTING In Public”。物悲しい気持ちも吹っ飛び、楽しくなって写真を撮ってしまいました。「公の場で唾を吐かないように」。しかし、残念ながらこの掲示板の注意を実行するのは空港内に来た人だけでしょう。帰りにエアポートバスを待っていると、バス停の係りのおじさんが私から半径50センチぐらいで、キンマを噛んで真っ赤になった唾をぷわーっと勢いよく、気持ちよさそうに吐き出しました。ぎゃああああ!止めてぇぇ!飛沫が、エアーゾールが!布のマスクしかしてないのに。もうこのおじさんが感染者だったら私も2週間後には必ず発症しています。

やっぱりミャンマーはあのとぼけた電光掲示板といい、このぷわーおじさんといい、まだまだ危機意識が低くてのんびりしているのでしょうか。こののどかさが無くなる前にコロナ騒ぎが収束してくれることを願ってやみません。

2月 ヤンゴン日本語教室便り

2020年2月29日
GJO日本語講師 今井 己知子

2月初旬には日差しが強く、日中の気温は30度を超えていたものの、朝晩は涼しく過ごせたのに下旬にはついに朝晩も暑くなってしまいました。

世界中コロナウィルスに震撼させられていますが、ミャンマーではまだまだのんびりしたもので、外国人やミャンマーの富裕層が良く利用する高級ショッピングセンターへ入る時のみ入場者のおでこに器具をあてて、検温している程度です。寮の近くにある高級ショッピングセンターでは平常通り荷物検査のみで入れます。以前は皆無だったマスク姿の人も見かけるようになりましたが、それもちらほらで、マスク無しの人が圧倒的に多い中で、マスクをしているととても目立ちます。マスクをしたくても、もう2月に入った時点でどこへ行っても売り切れていて手に入らないせいもあるのですが。まだ手作りマスクを作ってつけないと外に出られないほど事態は緊迫していません。

写真は2月最後の木曜日のLEVEL1の授業の様子です。数人の学生が教室に入ってくる時マスクをつけていますが授業中は外して会話練習しています。この日は教育実習生である院生の最後の授業でした。可愛いイラスト満載のパワーポイントで楽しい授業をしてくれて、学生たちも若い先生の分かりやすい丁寧な授業を大いに楽しみました。受講登録者数320名もの大所帯で始まったLEVEL1も2月最後の授業の出席者数は2クラス合わせて68人です。3月初めの期末試験で果たして何名が生き残れるでしょうか。

1月 ヤンゴン日本語教室便り

2020年1月31日
GJO日本語講師 今井 己知子

明けましておめでとうございます。恒例の書初めを1月3日に行いました。今年はLEVEL3の学生だけでしたが、23名参加しました。例年通り本学日本語教育大学院生が、年内に書道や書初めについて簡単な基礎知識を教えておいて、3日に実施となりました。

今年も学生たちの好きな言葉を書くように指示しました。学生たちは自分の好きな言葉を英語やミャンマー語で考えて、それを辞書で日本語に変換していました。中には変な辞書もあり、「運年」という言葉が出て来た学生もいました。今年の書初めの言葉をご紹介します。

第1位は「お金」5人。去年はなかったのに今年は5人も。やはりクラスのカラーなのでしょうか。第2位は「夢」二人。そして、全く同じではないけれど、同じ字を使っているのが、「新」?「新年」?「新しい」でした。その他は多岐に渡っていて、「福」?「吉」?「幸福」?「幸運」いかにもお正月らしいめでたい言葉ですよね。「成功」?「目標」?「知恵」大学生らしい立派な言葉。可愛いところでは「歌」と「恋」。好きな言葉だからということで「休日」?「好き」。面白いのは「犬」でした。犬好きなんでしょうね。それから自分の名前の一部だからということで「雨」。

自分だったらいったいどんな言葉を選ぶのか、思いつくのは「元旦」とか「正月」とか「初日の出」とかの面白味のない平凡な言葉ばかり。学生たちみたいにワクワクしながら考えてないなと自分の感性が鈍化しているのに怖くなりました。私も来年は楽しそうに、でも真剣そのもので筆を運んでいる学生に交じって新鮮な風をこの澱んでいる脳みそに入れてもらって、新年を迎えようと思います。好きな言葉を考えておかなきゃ。皆様も来年はこの素晴らしい日本の習慣を是非。



12月 ヤンゴン日本語教室便り

2019年12月31日
GJO日本語講師 今井 己知子

今年も12月に本学日本語教育大学院生が教育実習にやってきました。本人の希望もあり、初出勤日にこちらの民族衣装のロンジーとインジ―を仕立てに行きました。

2017年は運よくGJO受講生の女子学生がオフィスに来たので院生を市場へ連れて行ってもらい、彼女たちの助けでロンジーを購入することができました。今年は月曜日に新学期が始まったばかりで誰もオフィス周辺をうろうろしていませんでした。でも幸いなことに助っ人登場。12月からヤンゴン大学に交換留学に来た本学ミャンマー語学科の男子学生2人と国士舘大学の男子学生一人に通訳をしてもらうことになりました。私もお目付け役の婆やとしてついて行くことに。

御姫様のように男性3人と婆やに傅かれた院生を大学近くのフレーダン市場へ案内しました。1階は生鮮食品、生活雑貨などを売っていますが2階はロンジーやインジ―の生地屋や仕立て屋、上着のインジ―につけるボタンなどを売る服飾アクセサリー屋、下着屋などが軒を連ねています。ロンジーは色とりどりのデザインも異なった美しい布が小さな店の軒先に所狭しと吊るされたり、折り畳まれていて、どれも素敵で目移りしてしまいます。どこの店がいいか、なかなか決められず市場の中を何周かした後、ようやく適当な店で布を選びました。このお店は布を売るだけでなく、やり手の店主が仕立てもしてくれます。入念に採寸して、数日後に取に行って試着。華やかな黄色い上下お揃いの布で色白ミャンマー娘の出来上がりです。

若い女性らしく、インジ―(上着)は体に張り付くようにぴったりと仕立てられています。この仕立て方だと、体の線がごまかしようがないので、スタイルの良い人は余計美しく見えますが、腹部にどっかり贅肉がついていると、太った体の線が露呈してしまうことに。若い女性のほぼ100%がこのピチピチ上着に仕立てています。何でも、インジ―をピチピチではなく、ゆったり着るとおばさんぽいのだそうです。

でも豊かなお腹をはち切れそうなパチパチのインジ―に包んでいる中年女性も結構いて、勇気があるというか、大らかというか、いつも感心しています。腹肉どっかり派の私はインジ―を仕立てる時はいつもピチピチではなく、必ず腹部に余裕を持たせて作ってもらっています。ピチピチインジ―の院生は2月末までGJOで教壇に立ちます。若いのでロンジーとインジ―を着ると学生に見えてしまいます。



11月 ヤンゴン日本語教室便り

2019年11月30日
GJO日本語講師 今井 己知子

10月の一時帰国中に、同じ寮に住むヤンゴン外国大学で教鞭を取る日本語教師の女性が、11月に同じく日本語教師の男性一人が短期間の出家をしました。女性のうち一人と男性は頭を丸め、もう一人の女性は髪を残したまま在家のヨギとして修行しました。昨年度の本学交換留学生の男子2人と大阪大学の留学生の女子も頭を丸めましたし、その他にも興味がある人が周囲に結構います。出家までいかなくても瞑想修行に入った人も何人かいます。

その11月に短期間の出家をしたSさんの出家の儀式を少しご紹介します。まず、冷房の効いた建物に案内され、法衣を授与してくださる長老の御坊様の前に座って、しばし雑談。御坊様は椅子に座り、Sさん、ボランティアで通訳してくださるミャンマー人青年、そして私の俗人3人は床に敷かれた座布団がわりのゴザマットの上に座りました。その後、精悍な青年僧に連れられて外で洗髪。民族衣装のロンジーを穿いたまま青年僧に手伝ってもらいながら洗います。シャンプーの泡がいっぱいついたまま、椅子に腰かけ、カミソリでどんどん剃っていきます。すっかり剃りあがったらまた建物の中に入り、長老の御坊様の前に座り、いよいよ儀式の始まりなのですが、私には何が何だか、通訳の日本語を聞いてもあまり把握出来ていませんでした。長老の御坊様がミャンマー語かパーリー語で何やら唱えたのをSさんが復唱し、袈裟を受け取ります。それから、在家の服を脱いで、中年の御坊様に助けられながら袈裟を身に着けます。袈裟姿になってから、再びゴザマットに座るのですが、この時点でSさんの席には上にビロードのような布が敷かれて俗人と区別されています。頭を丸めて袈裟を着て、これから受戒するともう僧として認められるということなのだと感慨深かったです。 その後長老の御坊様がまたまた唱えて下さり、袈裟姿のSさんが合掌しながら神妙に復唱し、参拝して出家の式は無事完了です。

通訳の方が十戒を日本語に訳してくださった中で、「踊り?歌?音楽は修行の邪魔になりますから、見たり聞いたりしません」「時間外の食事をしません」「化粧しません?アクセサリーつけません」など、私にとって守るのが難しい戒律を耳にして、一生出家するのは自分には到底無理だなと、正座で感覚が麻痺していく足に集中力を奪われながらぼんやりと思っていました。



10月 ヤンゴン日本語教室便り

2019年10月31日
GJO日本語講師 今井 己知子

9月30日に2学期は終了し、10月1日から大学はお休みに入りました。GJOヤンゴンの日本語教室も授業がありませんので、今月はヤンゴンの風物についてお知らせします。

ここ4-5年の間にヤンゴンでは、大手チェーンのスーパーマーケットや、外国人や富裕層向けの高級スーパーが増加し、食材や日用品も充実しつつあり、言葉の不自由な外国人にとって便利になってきました。しかし、ミャンマー人の買い物の中心は何と言っても地元の市場です。こちらの言葉でゼーといいますが、今月はその活気あふれるゼーについて大学からすぐ近くのフレーダン市場、大学と寮の間ぐらいにある夜市、それから寮の近くのフライン市場をご紹介したいと思います。と言っても特に説明することもないので写真で楽しんでいただきたいと思います。

まず、夜の市場の写真をご覧ください。これは、大学と寮の中間ぐらいの地点にある露店の市場です。大通りから横道に入った所の小道の両側に露店があり、この露店の奥に僧院があります。いわば参道みたいな所に店を出しています。時間は6時ごろで、仕事帰りの買い物客で賑わっています。5枚目の写真はミャンマー人の生活に欠かせないニンニクや玉ねぎをタナカという粉を顔につけた女性が店番をしています。



次にご紹介するのは寮の近くのフライン市場の様子です。ここは大きな建物の中にいくつもの店が入っていて、生鮮食品から日用雑貨、本屋、花屋、仕立て屋など日常生活に必要な物は何でもそろうと言っても過言ではないほど大きな市場です。その中から乾物屋さんの軒先でこそっと写した1枚にご注目下さい。お店の女性が玉ねぎか何かを分銅で量っています。ヤンゴンでも分銅で量り売りするのは珍しいので撮ってみました。それから、もう一枚は花瓶ややかん、しゃもじなどを売っている店先に素焼きの壺も売られていたのでパチリ。素焼きの壺は道端に置いて、道行く人に無料でお水をあげるのに使われたりしています。

最後は大学に近いフレーダン市場を紹介します。フレーダン市場も2階建ての大きな市場で、2階には布地屋と仕立て屋、洋裁に使う道具や付属品屋がぎっしり軒を連ねています。市場の建物内だけではなく、その周囲の道にも商店がいっぱいで、いつも買い物客で大賑わいです。今回は花と果物屋の一部をお見せします。果物はこんな風に、パイナップルもパパイヤもバナナも傷まないように吊るして売っています。全部美味しそうでしょう?この店の前を通るのはとても楽しくて大好きです。日本では見られない茶色いバナナや生命力がみなぎっているような茎付きのバナナを見ていると野生のゴリラになった気になり、貪りたくなってしまいます。


9月 ヤンゴン日本語教室便り

2019年9月30日
GJO日本語講師 今井 己知子

今年も恒例のタンデム学習の発表会が9月4日に行われました。今年は発表者多数のため、1時間45分を超える大発表会となりました。6組に分かれてミャンマー人は日本語で、日本人はミャンマー語で発表するので学生にとってはなかなか大変なのですが、今年は全グループがパワーポイントを用意していて、分かりやすい発表会でした。いつものように、食生活や文化風習などもありましたが、日本とミャンマーの教育制度の比較や、ミャンマーにおける気候変動と災害などの硬派のトピックを扱っているグループもありました。発表し終えた後は大仕事をやり終えた満足感と安堵で、みんな会心の笑みを浮かべて記念撮影出来ました。

また、9月9日はLEVEL4の最後の授業で、期末試験に替えてスピーチを行ってもらいました。題は「私にとって一番大切なもの」です。専攻の期末試験の準備が気になる中、5名がスピーチしました。題は、「時間」?「健康」「幸せ」それから「家族」が二人でした。GJOヤンゴンの日本語講座はLEVEL4で終わりですので、最後を飾るに相応しく、メモも何も見ないで流ちょうに話していました。彼女たちの成長を嬉しく思いつつも、大変名残惜しかったです。これからも日本語の勉強を続けて欲しいものです。



8月 ヤンゴン日本語教室便り

2019年8月31日
GJO日本語講師 今井 己知子

今年も8月中旬に本学ミャンマー語学科の学生が短期留学にヤンゴン大学へやってきました。

ミャンマー人学生と合同で簡単なリサーチをして発表をするタンデム学習のオリエンテーションとグループ分けが8月21日に、リサーチのためのディスカッションが8月28日に行われました。実はGJOの日本語講座で勉強しているミャンマー人学生たちは、TUFSの日本人学生がやってくるのをとても楽しみにしていて、LEVEL2の受講生の何と70%がタンデム学習に参加しました。みんな教師に言われなくともお互いにSNSの情報を交換しあってすぐに和気藹々と楽しそうに話していました。

写真はその時の様子です。本学ミャンマー人客員講師がとってくださいました。

また、月末には、例年より少し早く1年間の交換留学生の修了式が行われました。4人ともミャンマーの民族衣装を着て式に臨みました。去年12月から3月までの学期は日本語講座LEVEL1に200人以上の受講生が詰めかけ、大変にぎわった中、授業補佐をよく頑張ってくれました。また、七夕の笹の確保や、GJOのオフィスのカーテンのつけ外し(何せ天井が3m以上あるので、私が椅子に上ってもカーテンレールに全く届かないのです)などにも大活躍してくれました。この場を借りてお礼を言います。どうもありがとうございました。

にぎやかな8月はこうして終わりました。来月には交換留学生も、1年生も帰国して、日本語講座も期末試験を終えたら、お休みに入り、ちょっと寂しくなります。

7月 ヤンゴン日本語教室便り

2019年7月31日
GJO日本語講師 今井 己知子

今年もまた七夕の季節がやってきました。今年は人数もだいぶ増えたので、去年よりずっと大きな笹を去年と同じ場所からいただきました。今年も本学交換留学生たちに交渉から切り出した笹の運搬、設営まで大変お世話になりました。かなり大きな笹でしたが、学生たちが手際よく設営してくれたのでびくともせずに短冊を吊るしてくれました。

学生たちは毎年願い事を日本語で書きたがるのですが、LEVEL2のレベルでは願い事を日本語で書くのは難しすぎます。今までは学生たちの願い事を授業補佐に入ってくれている本学交換留学生が日本語に訳してくれていたのですが、今年はLEVEL2の学生数がぐっと増えたため、限られた時間で全ての学生に対応できそうにありません。それで、LEVEL2の学生には英語かミャンマー語で書いてくださいと指示しました。でも何人かは頑張って日本語で書きましたが。

LEVEL2の願い事で一番多かったのが家族の幸福と健康を願うことでした。その他には「日本に行きたい」「日本語が上手になりたい」や「いろんな言語がうまくなりたい」。面白かったのは「あなたといっしょにたのしみにしています」と「しんせつな人といっしょにすみたい」です。意味深ですね。LEVEL4も「日本へ勉強に行けますように」「世界の全ての戦争が終わりますように」「全ての生き物が元気でありますように」「世界平和」など立派なのがありました。このクラスで際立っていたのが「愛する人と特別な思い出を作れますように」でした。これが一番すぐにかないそうですね。面白かったのが「みんなでがんばるよ」でした。願い事ではないではないかと、後で尋ねてみると、文型を間違えてしまったとのことでした。

私の願い事は去年と同じ「ミャンマー語がもうちょっとまともに話せるようになりますように」ですが、毎年同じということは、私の願い事を神様が無視しているということなのか、自分の努力不足を棚に上げているせいなのか。もちろん後者です。



6月 ヤンゴン日本語教室便り

2019年6月30日
GJO日本語講師 今井 己知子

6月に入ってヤンゴン生活が画期的に便利になる非常に嬉しいことがありました。ヤンゴン大学から外国人教員寮までを結ぶ、インヤー湖西岸のピー通りについに、やっと、とうとう何か所も信号が設置されたのです!

ある日の夕刻トボトボとピー通りを歩いていると、何やら上の方にピカピカ光る緑色の光を感じてふと見上げると信号と歩行者の看板が!帰宅途中、暑くて冷たいものを食べについ寄り道してしまうLOTTERIAや、食材を買うスーパーマーケットの前にも設置されていました。それからピー通りを西に折れる小道の一つが寮への近道になっていますが、おお、何とその前にも!まるで私のために便宜を図ってくれたみたいと一人で勝手に感激してしまいました。

ああ、これで車の流れが止まるのを睨みつつ、決死の覚悟で車の間を縫って、おっかなびっくり道路を横切らなくてすみます。ヤンゴンがまた1歩前進して便利になって住民としてはとても嬉しいです。

写真は、私が帰宅途中によく沈没してしまうLOTTERIAの前の信号です。歩行者のマークが、最後の5秒ぐらいから動きが速くなり、焦って走っているように見えるのがとてもかわいくて楽しいのですが、お見せできなくて残念です。


5月 ヤンゴン日本語教室便り

2019年5月31日
GJO日本語講師 今井 己知子

5月も引き続き大学はお休みですのでヤンゴン事情をお届けします。今年の5月の思い出と言えば、計画停電?暑い?暑い、マンゴー?マンゴー、これにつきます。昨年度のこの時期と比べてかなり暑かった上に毎日2時間から4時間の計画停電で、その間クーラーは使えません。発電機のあるホテルや高級コンドミニアムなどは停電知らずですが、庶民のミャンマー人住宅や我が外国人教員寮などはもちろん計画停電が施行されるとともにあらゆる電気は途絶え、2時間、熱地獄の中を耐える修行に入ります。停電の時はクーラーが利いているショッピングセンターとかに行けばいいのにと思われるかもしれませんが、あの暑い暑い中、特殊宇宙光線のような日光を浴びてタクシーに乗って(とても歩けないので)ショッピングセンターまで行くと年寄りはまた体力が消耗してしまうのでただ部屋に籠って耐えていました。

5月22日にやっと雨期に入りましたが、こんなに雨期入りが嬉しかったことは20数年に及ぶ東南アジア生活で初めてでした。計画停電は5月下旬まで続いていましたが、雨が降ってずっと涼しくなったので停電して2時間クーラーが使えなくても凌げるようになりました。

本当は好きじゃない雨期でも、良いことは他にもあります。実は雨期は果物が豊富でとても美味しい季節でもあるのです。5月中旬ごろからマンゴーが実りだし、他にも様々な南国の果物が出回ります。先週は寮の庭で実ったジャックフルーツの実やマンゴーを私たち外国人教員にたくさん配ってくれました。写真を撮れば良かった、残念。

GJOの教え子の一人が朝自宅の庭の木からもいで来たマンゴーを7つも持ってきてくれました。写真右手前に写っている大きい方がピンカウで、左にある少し小さめのがノーズィという種類なのだそうです。それから友人が甥御さんの農園で取れたマンゴーを5つもおすそ分けしてくれました。写真の時計の左側の大きい球形のがマッチッスで、右側のがインクエーという種類なのだそうです。私の眼には4種類の区別はつかず、大きいのと小さいのとしか分かりませんが、ミャンマー人は見て分かるんですね。私たちが林檎の種類を認識できるようなもんでしょうね。

色が黄色に変わったら食べることが出来るそうです。12個もあるから私もちょっと誰かにお裾分けしようかな。当分毎日マンゴー三昧の豪華な日々が続きそうです。ありがたい!

4月 ヤンゴン日本語教室便り

2019年4月30日
GJO日本語講師 今井 己知子

酷暑のヤンゴンから逃げ出して一時帰国しました。一時帰国報告会の後、ミャンマー語共同研究室で、留学中のヤンゴン大生三人と会う機会を作っていただき、半年ぶりの再会となりました。三人とも元気いっぱいで、日本語もとても流暢になっていました。女子二人は元々よくできていたのですが、男子学生は留学直前の九月末に挨拶に来た時は、片言しか話せなかったのが、今は日常会話は問題なくこなせるようになっていました。私がするnatural speedの質問も、聞きかえすことなく答えられました。何という進歩!三年ヤンゴンにいて日常会話にいまだ四苦八苦している私とは大違い。

彼らの日本での生活を楽しく聞かせてもらいましたが、雑談ではまとめにくかったので最後にインタビューしてみました。女子二人には昨秋インタビューしましたが、今回は違う内容を聞いてみました。ご笑覧ください。

HとSはミャンマー語学科の女子学生、Aは人類学専攻の男子学生です。

質問1:今まで日本で一番楽しかったことは?

H:ホストファミリーのクリスマスパーティーです。

S:山形県の飯豊町へのスタディーツアーで、雪遊び、スノーボードをしたことと、外国人2人日本人2人で農家の民宿に泊まったこと。

A:ホストファミリーとの交流でお正月に家と公園で凧揚げをしたのが楽しかった。

質問2:日本の食べ物で好きな物は?

H:苺と大阪のたこ焼き

S:食べ放題じゃない高い焼肉。ラーメン?おもち

A:全部好き。特に煎餅と苺。

質問3:嫌いな食べ物は?

H:ワサビ

S:ワサビと納豆

A:ありません。

質問4:日本で嫌なことは?

H:果物が高い。

S:電車でぶつかった時に謝っても怖い顔をしている。

A:ありません。

質問5:留学期間は残り3か月ですが、何をしたいですか。

H:ちゃんと勉強したい。

S:色々なことをやりたい。勉強と、東京周辺の関東で行ったことがない所へ行き
たい。

A:日本人の友達をもっと作りたい。

質問6:これから1年留学をする人たちにアドバイスしてください。

H:ホストファミリーがいたらいいと思う。

S:来る前に出来るだけ日本語を勉強して来た方がいい。
(どうして?)ヤンゴン大学の学生は日本語専攻じゃないから、日本語の勉強の範囲が低いから。

A:たくさん遊んでください。どこでも知らない所に行ってください。

このインタビューによると、ホストファミリーの存在は留学生活にかなり大きなウェイトを占めるみたいですね。日本人の家庭生活に触れる機会が他にないからでしょうか。好きな食べ物で、男子は全部好き、刺身も納豆も好きと答えたのにはびっくりしました。同じく食べ物に関する質問で、嫌いな食べ物で女子二人がワサビと答えたのも少し以外な気がしました。唐辛子とは違う辛味はあまり受け入れられないのかな。

そしてここでも際立っているのは男子学生が嫌いな物はないということです。彼はかなり日本の生活が合うんでしょうか。喜ばしいことです。日本が誇る生物兵器、納豆も好きだなんて、無敵ですね。

三人ともとても楽しそうで日本の生活を満喫している様子がうかがえました。こんなに若い時に留学出来て本当に羨ましいです。この1年は彼らの人生にとって一生の宝物になったと思います。

PAGE TOP